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恩師 [ドイツ]


    昨日は学生時代の恩師の命日でした。晩年は都内の施設で暮らしていました演劇の研究に時間を費やしていたそうです。私は帰省する度にいつか施設を訪れて先生にお会いしたいものだと感じていたのですが結局実現できず悔やんでいます。葬儀に参列した友人は「先生らしい葬儀だったよ」と話してくれましたが納得できました。

    先生はドイツ演劇を代表するブレヒトがが専門で若い頃旧東ドイツへ留学をされました。なぜ東ドイツへと疑問が生じましたが後で理由がわかりました。演習の授業の合間に話すドイツの話が面白く、いつも先生は「まずは相手の意見を受け入れること」「歴史をちゃんと学べ」と言っていました。また希望者を対象に都内の劇場へ行ったものです。初めてブレヒトの芝居を見た時に新しい世界を発見した気分になりました。数時間の世界に導かれ登場人物らと共に空間を共有する楽しみが新鮮に感じられたのです。先生との出会いがなければ演劇には目を向けなかったことでしょう。またある時は仲間と先生の自宅を訪問したことがあります。先生お手製の美味しい天ぷらを皆でいただきました。揚げたての海老天やさつまいもの天ぷらを食べながらドイツの話を聞きました。「男性も料理ができないといけないよ」と強調したエプロン姿の先生が忘れられません。

   今頃はどこかで大好きなお酒を飲んでブレヒトの作品を読んでいるでしょうか。先生の言葉を思い出しながら勉強したいものです。



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