卒業生に会って：のび太の徒然草：SSブログ

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卒業生に会って　[教育] [編集]

　　
帰宅途中私はよく街のアーケード街を通ります。書店や文房具屋へ立ち寄る機会が多いと思います。
　
　昨日は時々訪れる文房具屋でノートを数冊購入しました。支払いを済ませ財布をポケットに入れて帰ろうとした瞬間、「のび太先生（仮名）、こんにちは。私ですよ！。」と一人の女性の顔。

　　あっ、確かに顔は覚えているけど、名前は○○さんだったか△△さんだったか、、誰だろうか、、？化粧もしているのですっかり変わっています。私は彼女の名札を見て解りました。数年前に教えた○○さんでした。彼女はこの店で働いていたのです。ちょうど彼女は店の休憩時間に入っていたので、立ち話ですが最近の近況を聞く事ができました。うちの卒業生は街ではよく見かけます。思わぬ場所で遭遇することもあります。田舎なので本当に世間が狭いなと私は感じています。

　「のび太先生の授業、面白かったですよ。英語の成績は良くありませんでしたが、、。でもまた勉強したいです。」と○○さん。雑談も忘れていないとか。これにはびっくりしました。参りました！
　
　「これはどうもありがとう。でもね英語の勉強は卒業してからもできますよ。何かのきっかけで勉強しようという気持ちにもなりますよ。」と私。考えてみたら彼女は当時授業では真面目に取り組んでいました。

　「そういえば、映画を今も生徒に見せていますか。」と○○さん。
　「ああ、見せているよ。」と私。今週でも見せようかな。
　「あの、ライフ・イズ、、、覚えていますよ。」

　私は毎年授業で、先日放映された「ライフ・イズ・ビューティフル」を生徒達に見せています。この○○さんのクラスでも当時見せたのです。ところがラストシーンが終わってしばらくの間ほとんど生徒が席を立つことができなかったのです。皆涙を流して感動したのでした。私もさすがに声をかけることができず後に立ったまま待っていたのを覚えています。

　　彼女は私にこう言ったのです。あの映画の出会いで映画鑑賞が趣味の１つとなって現在も時々映画館へ足を運んでいるそうです。
　　私はそれを聞いて非常に嬉しくなりました。まさか自分の授業で映画が好きになるとは心から嬉しくなります。こちらこそどうもありがとうと言いたいです。自分の授業をよく覚えてくれて、しかも趣味が１つ増えたという話を聞いて教員の仕事を選んで良かったなと感じました。教えた内容が生徒一人一人の心のどこかに１つの種として残っているのでしょうか。芽が出てつぼみができて花が咲く過程は人それぞれでしょう。自分の蒔いた種の芽が出るのは嬉しいことです。

　　「何か今日はいいことでも起こるのではないだろうか、よし、今週は映画でも見せてあげよう。」
　　
　　私はそんな事を考えながら店を後にしました。
　

写真は先日庭で見つけたバッタです。しばらく見ていました。